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あと一ヶ月〜アーノンクール来日によせて

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    アーノンクールの来日公演までいよいよあと一ヶ月に迫った。
    そこで、彼の来日直前のスケジュールをちょっと紹介してみたい。
    実は来日直前の一ヶ月で、なんと公演プログラムの多くをヨーロッパで演奏する。
    モーツァルトの三大交響曲(39〜41番)にいたっては、今年の4月のオースター・クラング、
    8月のザルツブルク音楽祭、9月のルツェルン音楽祭でもウィーン・フィルと演奏しているから
    日本に来る前に、同じ組み合わせで6回も演奏することになる。
    ちなみにアーノンクールはこの3曲では、すべての繰り返しを演奏し、
    休憩を2回とるのも特徴だ。 
    「メサイア」も「レクイエム」もすでにCDで録音済み。
    バッハはコンツェントゥス・ムジクスと何度も演奏している曲だから、
    万全の体制での来日になるだろう。
    いやが上にも期待が高まる。

    10月4日 ウィーン      ヘンデル:メサイア
    10月8日 ザンクト・ペルテン モーツァルト:レクイエム
    10月9日 リンツ       モーツァルト:レクイエム 
    10月14・15日 ウィーン    バッハ:カンタータ、管弦楽組曲3番
    10月16日 グラーツ      アーノンクールとバッハ・プライベート
    10月23日 ウィーン     モーツァルト:三大交響曲
    10月27日 ウィーン     ブルックナー:交響曲第5番
    10月28・29日ウィーン    シューマン:交響曲第3番「ライン」、シューベルト「未完成」ほか



    la fontaine * アーノンクール * 23:56 * comments(1) * -

    アーノンクール 2006年来日日程(最新版)

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      アーノンクールの来日日程と曲目の詳細を分かっている範囲で更新・アップします。

      【1】ニコラウス・アーノンクール指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
      プログラムA: ブルックナー/交響曲第5番
      プログラムB: モーツァルト/交響曲第39番, ベートーヴェン/交響曲第7番
      プログラムC: シューマン/交響曲第3番「ライン」,ベートーヴェン/交響曲第7番
      プログラムD: モーツァルト/交響曲第39番・40番・41番

      2006/11/03 15:00 東京/サントリーホール (A)
      2006/11/04 18:00 西宮/兵庫県立芸術文化センター (A)
      2006/11/05 15:30 広島/厚生年金会館 (B)
      2006/11/07 19:00 川崎/ミューザ川崎シンフォニーホール(B)
      2006/11/08 19:00 東京/サントリーホール(C)
      2006/11/11 18:00 東京/サントリーホール (D)
      2006/11/12 15:00 豊田/豊田市コンサートホール(D)
      2006/11/13 19:00 東京/サントリーホール(B)
                 

      【2】ニコラウス・アーノンクール指揮ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
      プログラム1: ヘンデル/「メサイア」
      (Sop:ユリア・クライター、Alt:ベルナルダ・フィンク、Ten:ウェルナー・ギューラ、
      Bas:ハンノ・ミューラー=ブラッハマン、合唱:アーノルト・シェーンベルク合唱団)

      プログラム2:モーツァルト/「主日のための夕べの祈り」K.321、「レクイエム」K.626
      (Sop:ユリア・クライター、Alt:ベルナルダ・フィンク、Ten:ウェルナー・ギューラ、
      Bas:ハンノ・ミューラー=ブラッハマン、合唱:アーノルト・シェーンベルク合唱団)

      プログラム3:バッハ「管弦楽曲」第1番、第3番、「カンカータ組曲」
                    「オーボエとヴァイオリンのための協奏曲」


      2006/11/16 東京/NHKホールNHK音楽祭(プログラム2)
      2006/11/18 京都/京都コンサートホール(プログラム1)
      2006/11/19 大阪/いずみホール(プログラム2)
      2006/11/21 東京/サントリーホール(プログラム1)
      2006/11/22 東京/東京文化会館(プログラム3)
      2006/11/23 札幌/コンサートホール キタラ(プログラム3)


      詳しくは下記URLもご参照ください。
      http://www.suntory.co.jp/suntoryhall/sponsor/061103.html
      http://blog.eplus.co.jp/kajimotoeplus/archive/c562
      la fontaine * アーノンクール * 01:14 * comments(4) * -

      アーノンクールは語る 「モーツァルト対談」

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        Mozart Dialoge Gedanken zur Gegenwart der Musik
        Mozart Dialoge Gedanken zur Gegenwart der Musik
        Nikolaus Harnoncourt
        アーノンクール 『モーツァルト対談』

        アーノンクールは発言する音楽家だ。
        自分が演奏する作品については、明確な意見を持ち、上演や録音に際しては
        自らプログラムノートを書く。またそうしたアーノンクールを主に
        ドイツ語圏の雑誌や新聞はインタビューを通じて紹介して来た。
        そうしたものを集めた本が出版されている(目下ドイツ語版のみ)。
        題してMozart Dialog「モーツァルト対談」
        Dialog(対話、対談)はアーノンクールが音楽を考える上で
        欠くことのできない概念だ。

        1980年代からアーノンクールは、ヨーロッパの音楽シーンで
        きわめて注目される存在となっていた。主要な音楽雑誌や新聞が
        彼が指揮するオペラのプレミエの前後にインタビューを掲載した。
        ここに収められたインタビューやプログラム・ノートは
        彼の著作「古楽とは何か」「音楽は対話である」を補うものとして
        非常に興味深い。
        その内容の一部、カール・リヒターとの関係については
        すでにこのブログで紹介した[復活祭とバッハのマタイ受難曲(2) ]。

        「自分がオーケストラを退団したのは、他の指揮者の元で
        演奏することに堪えられなくなったからだ・・・・
        拍子をとる指揮のテクニックそれ自身は原理としては簡単だ。
        作品を分析し、作品像を描くことが指揮者には求められる・・・。」

        「スコアを買ってきてそれを指揮するだけでは、プロの指揮者とは
        言えない」

        「音楽家として初めから指揮者を目指すことは考えられない」

        「私は自分の演奏する曲について、他人の録音を良く聴く。それに
        左右されることはないが、他の人がどのように演奏しているか、
        には大いに興味がある。私はカラヤンの録音は大体聴いているが
        今日聴いてもなおその完成度において他の追随を許さないものが
        ある。」

        「私はいつかはモーツァルトを指揮しなければならないと思っていた」

        など刺激的な発言も随所に飛び出しおもしろい。
        しかし全体としては非常に真摯な音楽に対する情熱が全体に感じられる。

        以下目次を紹介しておこう(目次の日本語訳:本多優之)
        日本語版が待望される。
        続きを読む >>
        la fontaine * アーノンクール * 20:35 * comments(2) * trackbacks(1)

        ☆10000アクセス達成☆

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          このブログが今年に入って3ヶ月あまり、遂に10000アクセスを超えました。
          一日平均で100近いアクセス!これは大変な数字だな〜と思います。
          先週から予告していたように、10000アクセス記念の記事、第1弾をアップ。
          ということになるとやはり話題はこの人でしょうか??

          <アーノンクール・エピソード>
          1970年代後半にチューリッヒ歌劇場で上演したモンテヴェルディの三つのオペラの
          大成功によって、アーノンクールはヨーロッパで注目を浴びるようになりました。
          この公演はヨーロッパでテレビ放映され、またLDにもなりアーノンクールの名を世界に
          広めたと思われます。その後、彼はやはりチューリッヒでモーツァルトのオペラを
          ツィクルス上演し、「斬新な」モーツァルト解釈はヨーロッパに旋風を巻き起こしました。
          同じ頃、王立アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団とのモーツァルトの交響曲の
          録音も発表され、その解釈もつねに「論議の的」となっていました。
          モーツァルト : 交響曲第40番&第41番「ジュピター」
          モーツァルト : 交響曲第40番&第41番「ジュピター」
          ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団, モーツァルト, アーノンクール(ニコラウス)
          私がドイツに留学していた1980年代は、ちょうどそうした時期でした。音楽雑誌や主要紙に
          彼のインタヴューがしばしば載りました。(最近その頃のインタビューを集めた“Mozart Dialog”が本としてドイツ語で出版されました。これについては後日書きたいと思います)。

          二つの著書、「古楽とは何か」(原題"Musik als Klangrede")、「音楽は対話である」
          (原題”Musikalische Dialog”)が相次いで出版され、各国語に翻訳されるようになると、
          彼の原典に裏付けられた音楽解釈が正当に評価されるようになっていきました。
          古楽とは何か―言語としての音楽
          古楽とは何か―言語としての音楽
          ニコラウス アーノンクール, Nikolaus Harnoncourt, 樋口 隆一, 許 光俊

          ギドン・クレーメル、ディートリッヒ・フィッシャー=ディスカウ、ペーター・シュラヤー、
          エディタ・グルベローヴァ、フリードリッヒ・グルダら多くの一流の演奏家と共演し、
          彼らの間でも絶大な支持と信頼を得ていました。
          モーツァルト : ピアノ協奏曲第23番&第26番
          モーツァルト : ピアノ協奏曲第23番&第26番
          グルダ(フリードリヒ), ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団, モーツァルト, アーノンクール(ニコラウス)
          モーツァルト:コンサート・アリア集
          モーツァルト:コンサート・アリア集
          グルベローヴァ(エディタ), アーノンクール(ニコラウス), ヨーロッパ室内管弦楽団, モーツァルト

          しかしアーノンクールが、ウィーン国立歌劇場やベルリン・フィルに登場するようになった
          のには、あるキーパーソンの力が大きいと思います。それはクラウディオ・アッバードです!
          彼はウィーン国立歌劇場の音楽監督になると、いち早くアーノンクールを招聘しました。
          彼はアーノンクールを非常に高く評価しており、両者は親しい間柄でもあるようです。
          アーノンクールがウィーン交響楽団と演奏したハイドンの「天地創造」の終演後には、
          楽屋に挨拶にもきていました。
          さらに90年代にアッバードがベルリン・フィルの常任指揮者に就任すると、客演指揮者の
          顔ぶれに、それまで「避けられていた!」ブーレーズ、アーノンクールらの名前が加わりました。
          ここにヨーロッパの演奏史の新しい1ページが開かれた、と思うのは大袈裟でしょうか?
          la fontaine * アーノンクール * 11:46 * comments(4) * -

          「音楽の友」2006年1月号

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            表紙はアーノンクール。
            京都賞で来日のアーノンクールについて記事が載っています。
            そしてp.90-91に、私が1991年にアムステルダムでアーノンクールに
            インタビューし、「音楽芸術」に寄稿した記事が再掲載されています
            (「時代と共に移り行くモーツァルトの演奏様式」)。
            彼のモーツァルトに関する考え方が述べられています。
            ぜひ読んでください。
            la fontaine * アーノンクール * 22:38 * comments(0) * -

            素顔のアーノンクール(2)

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              アーノンクール・イン・京都はとても多くの方に読んでいただいている。
              ほんとうにうれしい。それは日本での関心の高さを示してるのかもしれない。
              アーノンクールがあの形相から怖そうな人だという印象を受けるかもしれないが、
              実際は非常に気さくな面もある。
              そのことは京都のワークショップで感じられた方も多いと思う。

              さて、今日は一つのエピソードを紹介したい。
              実はアーノンクールはどこに行くのにもアリス夫人と一緒である。
              これには、訳がある。
              夫人はアーノンクールの秘書兼マネージャーなのである。
              普通有名な指揮者になると、大きなマネージメントに所属していて、
              そこから指揮の仕事を仲介される。しかしアーノンクールにはそうした
              マネージメントはついていない(多分今でも)。
              それは、彼が自分の本当にしたい音楽だけをやってきたからでもある。
              そしてそれを支えてきたのがアリス夫人である。
              自身優れたヴァイオリニストであり、長くコンツェントゥス・ムジクスの
              主席ヴァイオリンを務めた。
              だがそれだけではない。夫人は、コンサートの契約、音楽家の手配、
              パート譜の管理まですべてこなしている。
              アーノンクールは基本的に指揮する作品は、ボーイングなどを書き込んだ
              パート譜を持参している。 これを管理してオーケストラに渡し、
              演奏会後は回収するのが夫人である。もちろんパート譜に書き込むのは
              アリス夫人だ。
              オーケストラのリハーサルの初日には、いつも大きな袋を持った夫人の
              姿がある。
              そして演奏会はもちろん、リハーサルも夫人がすべて客席で聞いている。
              アーノンクールはリハーサル中に後ろを振り向くことがある。
              その視線の先には必ず夫人がいる。
              言葉は交わさないが、アイコンタクトで良し悪しが伝わるようだ。

              ある時、私がコンセルトヘボウ管弦楽団のリハーサルを見学していた時、
              近くに座っていた夫人が、何かの写譜をしていた。
              目立たず、アーノンクールが振り向く時には、必ず頭をあげる。
              以心伝心とはこのことか。
              しかし、驚くべきは夫人の写譜の美しさ。
              左手の人差し指で音符を一音一音確認しながら、丁寧にペンで書き写していく。 
              こうした夫人の献身的なサポートが今日のアーノンクールを支えている。




              la fontaine * アーノンクール * 00:59 * comments(6) * trackbacks(0)

              アーノンクール イン 京都

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                11月11日と12日京都賞記念の講演とワークショップが開かれた。
                今年は先端技術部門、基礎科学部門、思想・芸術部門の三部門から
                それぞれ一人ずつ選ばれた。ニコラウス・アーノンクールはその
                思想・芸術部門から演奏家としてはじめて選ばれた。
                これまでこの部門では、メシアン、ケージ、クセナキス、
                リゲティなど現代音楽の作曲家が受賞している。

                その講演とワークショップを聞くために京都を訪れた。
                まず11日は、今年受賞した三人がそれぞれ記念講演として、
                今まで歩んできた道のり、家族のこと、そして専門分野での活動に
                ついて話しをした。
                どちらかというと自己紹介的な要素が強かったように思う。
                他の受賞者については専門外なので触れないでおく。
                アーノンクールは生い立ちから、人形劇との出会い、
                音楽家になる決意をした経緯や、コンツェントゥス・ムジクス、
                彼の古楽器に対する考え方を述べた。
                とくに注目すべきは、演奏には伝える内容があってはじめて
                人々に感動を与えることが出来るということだ。
                アーノンクールは、フランス革命以後音楽学校(コンセルヴァトアール)
                のシステムが確立されてから、それ以前の音楽で大切にされきた、
                表現するべき内容がおろそかにされるようになってしまったことを説明した。
                だから、モーツァルトなどフランス革命以前の音楽を演奏するには、
                それを理解していなけれればならない、という。

                第2日目の今日は、各部門にわかれてシンポジウムやワークショップが
                行われた。
                アーノンクールは楽譜には、すべてが書かれている訳ではなく、
                全音符一つでもその長さ、は同じではないと主張する。
                そのほか、バッハの受難曲におけるレチャタティーヴォの記譜法と演奏法、
                モーツァルトの楽譜における記号の意味(書かれたことと書かれなかったこと)などが実例を示して説明された。

                それに続くシンポジウムでは、4人のパネリストの自己紹介が長すぎ、
                一部で質問者の準備不足と思われる発言もあり、失望した。
                なにしろアーノンクールと意見がかみ合わない。
                あらためて、こうした討論形式の難しさを痛感した。

                休憩をはさんで、京都フィルハーモニー室内合奏団が参加して、
                モーツァルトの交響曲第33番の公開演奏指導(リハーサル)が行われた。
                アーノンクールの音楽創りがもっともよくわかる、またとない機会であった。
                アーノンクールはモーツァルトの音楽の持つ性格を、若い男女の初恋、
                ピエロ、ヨーデル、演劇的な要素を使って雄弁に説明し、
                音楽を見違えるように活き活きとした響きにしていった。
                1時間強のリハーサルがとても短く感じられた。
                アーノンクールの音楽の作り方が、このような形で公開されることは
                ヨーロッパでもきわめて稀であり、まして日本のオーケストラを指揮して
                のリハーサルが実現したことは、京都賞があっての賜物であると思う。
                しかし、欲を言えば、オーケストラとの公開リハーサルのみならず、
                受賞記念コンサートがそれに加わるならば、彼の音楽がもつメッセージを
                よりはっきりと享受できたのではなかったか。

                終了後、楽屋にアーノンクールを訪ねた。
                受賞のお祝いを述べると、
                開口一番
                「よかった?」(シンポジウムとリハーサルについて)
                と尋ねられた。
                「オーケストラとのリハーサルはもっと聞きたかったですね」
                と答えると、
                「オーケストラが時間に限りがあったんだ」
                とちょっと残念そうな顔をした。

                せっかくの機会なのだが、オーケストラにはこの後仕事が入っていたのだ!
                日本のオーケストラの現状だが、
                こうしたところのオーガナイズも企画の段階で
                もう少し詰めるべきであったのではないか、と痛感した。

                「また、来年お会いするまで」
                そう言って楽屋を後にした。

                充実した京都の二日間であったが、
                今後の課題も感じられた。


                ↓アーノンクールの著作「音楽は対話である」

                音楽は対話である―モンヴェルディ・バッハ・モーツァルトを巡る考察
                ニコラウス・アーノンクール, 那須田 務, 本多 優之
                la fontaine * アーノンクール * 23:33 * comments(3) * trackbacks(0)

                いざ、京都へ

                0
                  京都賞を受賞したアーノンクールが来日した。24年ぶりの日本だ。今日と明日、記念講演とワークショップがある。それを聞くため京都に来た。
                  私が初めてコンツェントゥス・ムジクスのコンサートを聴いた時、彼はまだチェロを弾きながら指揮をしていた。
                  しかし1980年代半ばからは、もっぱら指揮者として活動を続け、高い評価を受けてきた。
                  残念ながら来日の機会がなかったため、ヨーロッパに較べると日本での評価はいまひとつであった感が否めない。
                  しかし、今年の京都賞受賞でようやく来日が実現した。来年はウィーン・フィルと来日し演奏会を指揮する。アーノンクールの心髄が聞けることを期待している。
                  (続)
                  la fontaine * アーノンクール * 08:52 * comments(0) * -

                  アーノンクールがやってくる!(続)

                  0
                    昨日のブログに続き、アーノンクールについて書こうと思う。
                    今年の京都賞授賞で、アーノンクールは24年ぶりの来日になる。なぜ再来日にこれほ時間がかかったか?それはそのまま、世界(日本)の音楽状況の変化であるように思われる。
                    今から25年前、アーノンクールは古楽のアンサンブルのリーダーであり、チェリストではあっても指揮者とは一般に受け入れられていなかった。カラヤンもバーンスタインも、その他多くの指揮者や音楽家は20世紀まで受け継がれたヨーロッパ音楽の「伝統」に則って音楽活動を行ってきた。しかし、彼はこの「伝統」に疑問を投げかけた。オリジナル楽器によって、またその当時の演奏習慣に基づいて演奏することによって、それまでとはまったく違った音像が得られることを彼は知っていた。

                    それは1970年に録音されたバッハの「マタイ受難曲」を聴いても分かる。当時のこの曲のスタンダードはカール・リヒターの録音だったから、この演奏がいかに「異端」であったかは想像に難くない。
                    後年1980年代になって、私は何度かアムステルダムでアーノンクールの指揮する見事な「マタイ受難曲」の演奏を聴いた。オーケストラはコンセルトヘボウ管弦楽団。現代楽器であることをまったく感じさせなかった(もっともアーノンクールがはじめて「マタイ受難曲」を指揮した時は、オーケストラとは喧々諤々だったらしい。そのことは当初ウィーン・フィルでも同じであった)。

                    アーノンクールの作品の本質に迫ろうとするアプローチで、何よりも驚嘆したのヴィヴァルディの「四季」の録音だった。イ・ムジチの演奏に慣れた耳にはまさに「天変地異」、仰天の「四季」だった。
                    ヴィヴァルディの楽譜には、小鳥の鳴き声や、犬の鳴き声であるという細かな指示があり、アーノンクールはそれを徹底したのだという。

                    1990年代、カラヤンやバーンスタインが亡くなってから、時代が変わりはじめた。アッバードがベルリン・フィルの常任に就任し、カラヤン時代には指揮することのなかった音楽家が指揮台に登場するようになる。そのことはとりもなおさず、ヨーロッパの音楽シーン全体に、大きな変化をもたらしたと思う。1991年9月25日〜28日にアーノンクールがベルリン・フィルの定期演奏会に初登場する。この演奏会を聴くために私はベルリンまで飛んだ。 そこにはオーケストラと指揮者の幸運な出会いが感じられた。

                    21世紀、アーノンクールはウィーン・フィルのニューイヤーコンサートに2回も登板した。まさに時代が変わったというべきだろう。それを日本の聴衆や音楽ファンもようやく感じ取っていると思う。来年はウィーン・フィル、そしてコンツェントゥス・ムジクスと来日。日本にアーノンクール旋風は吹くのだろうか?








                    la fontaine * アーノンクール * 20:43 * comments(2) * -
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