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チューリッヒ歌劇場 「影のない女」「オルランド」「コジ・ファン・トゥッテ」

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    二日間で3演目を観ました。

    12月19日(土)18:30  
    リヒャルト・シュトラウス「影のない女」(1919年)
    指揮:フランツ・ウェルザー=メスト
    演出:デイヴィッド・パウントニー

    影のない女

    ミラノからの列車が遅れたため、チューリッヒに着いた早々着替えてオペラに行きました。

    「影のない女」を舞台で見たのは今回が初めてでした。このオペラはドイツ語圏のオペラハウスでも、上演されることは多くありません。今回の上演は、今年12月にプレミエを迎えたばかりの新演出で、演出がパウントニー、指揮がウェルザー=メストでした。

    パウントニーの演出は、バラクの家が崩壊した後の第3幕の作り方に特徴がありました。妃がバラクとその妻の愛に心を動かされ、影を得ることをあきらめると、いうことを衣装をそれまでのものから抽象的なものに変え、最後は全員現代の私服になって登場するという視覚的変化によって表わしていました。

    歌手の出来にはバラツキがあったものの、複雑なシュトラウスのスコアから、雄弁な音楽を引き出した指揮のウェルザー=メストの手腕は素晴らしかったです。


    12月20日(日)13:30
    ヘンデル「オルランド」(1733年)
    指揮:ウィリアム・クリスティ
    演出:ジャン・ダニエル・ヘルツォーク

    オルランド

    オルランドはもともとカストラートの役、今回は、カウンター=テナーで歌われました。演劇的には女性が演じるよりも男性の方がより説得力があると思います。主役に抜擢されたデイヴィッド・QD・リーは若い韓国系カナダ人。最近のめざましい活躍が注目されている歌手です。長身で体格に恵まれ、舞台での存在感はオルランドにぴったり。声は低い方の音域が地声になってしまうものの、狂乱した演技は抜群。またコロラトゥーラの速いパッセージも見事に歌いこなし、これからが期待されると思いました。そのほか歌手陣は、非常にレベルが高く、とくにアンジェリカを歌った、マルティナ・ヤンコーヴァ、ゾロアストロを歌ったコンスタンティン・ウォルフが印象に残りました。

    ヘルツォークの演出は、時代を第1次大戦前の精神病院に移しかえ、ゾロアストロは精神科の医師、ドリンダが看護婦という設定になっていました。

    クリスティの指揮は短調のアリアの抒情的な表現が良かったと思います。ただ、狂気のオルランドの劇的な表現については、物足りなさを感じました。オーケストラはチューリッヒ歌劇場の古楽器オーケストラ「ラ・シンティッラ」。



    12月20日(日)19:30
    モーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」(1790年)
    指揮:マンフレート・ホーネク(病気のウェルザー=メストの代わって急きょ代役)
    演出:スヴェン=エリック・ベヒトルフ

    コジ

    前の晩に「影のない女」で素晴らしい演奏を聴かせたウェルザー=メストが、風邪をこじらせ高熱を出したためキャンセル。
    かわってウィーンからホーネクが呼ばれました。
    開演前の説明によれば、日曜日の朝にヨーロッパ中電話を掛けまくったそうです。たしかに歌手がキャンセルするのはヨーロッパではよくあることですが、指揮者が直前にキャンセルすることはめったにありません。おそらく二日後の「影のない女」のことを考えあわせてのキャンセルではないかと思います。

    ホーネクのテンポは非常に速く、良く歌手が付いてきたなと思うところもしばしばありました。急に指揮者が代わっても、声楽アンサンブルが崩れなかったのは見事!なかでもフィオディリージを歌ったマリン・ハルテリウスが演技・歌ともに光っていました。



    la fontaine * オペラ * 01:25 * comments(0) * trackbacks(0)

    そしてミラノ  ヨーナス・カウフマンを聴く

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      フランクフルトからミラノへ
      上空からのアルプスの眺めは最高でした!

      ミラノ大聖堂
      ミラノ大聖堂



      フランクフルトからミラノにやってきました。今回ミラノに来た目的はただ一つ。スカラ座の「カルメン」でドン・ホセ役を歌うヨーナス・カウフマンを聴くことです。

      カウフマンは2年前にチューリッヒで聴こうと思っていたところ、病気でキャンセルなってしまい、聴くことができませんでした。それで今回はどうしても、ということでミラノにやって来ました。といってもチケットが発売と同時に売り切れだっため、入手に苦労しました。

      日本ではまだ一般にはあまり知られいないようですが、いまヨーロッパでもっとも注目されているテノールの逸材です。スカラ座の「カルメン」ですが、とてもよかったです。主役のカルメンを歌ったRachvelshviliは、伸びのある素晴らしい声でした。カウフマンは、純情な青年ドン・ホセを見事に演じていました。そして歌は?
      久しく聞いたことのない、豊かで深い声質の美しいテノール。例えるならば芳醇なワインのようでした。ヴィンテージを重ねたらさらにその歌に磨きがかかるでしょう。ドイツ出身の歌手で、ドイツ語以外のオペラでこれほどの成功を収めた歌手はいないのではないでしょうか。

      ちなみにこの「カルメン」を指揮したのはバレンボイムでしたが、個人的にはあまり共感できませんでした。とくにゆっくりしたテンポの部分は、もったりした感じになってしまい、ビゼーの音楽にそぐわないと思いました。
      la fontaine * オペラ * 09:00 * comments(2) * trackbacks(0)

      フランクフルト歌劇場 コルンゴルト:歌劇「死の都」

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        12月17日
        フランクフルト市立歌劇場
        コルンゴルト:死の都(1920)
        死の都
        このオペラの舞台上演を観るのはこれで2回目です。フランクフルト歌劇場は今シーズンから音楽監督にセバスティアン・ヴァイグルを迎え、意欲的な取り組みをしています。
        11月22日のプレミエは新聞評も良かったので、劇場はほぼ満員。
        定期会員もいるとはいえ、この演目で劇場がいっぱいになるのは日本では想像できないです。
        コルンゴルト(1897〜1957)は第2次大戦前には、非常に有名な作曲家でした。ユダヤ系であったため、第二次世界大戦でアメリカに亡命。彼の音楽はナチスによって「退廃芸術」という烙印を押され上演を禁じられました。アメリカに渡ったコルンゴルトはハリウッドの映画音楽の分野で活躍し成功をおさめました。終戦後ドイツに戻ってはみたものの、人々の記憶から彼の名前はすっかり忘れられ、二度と脚光を浴びることはありませんでした。

        1980年代からそうした作曲家の作品にふたたび注目があつまり、コルンゴルトの「死の都」も再び劇場のレパートリーに加わるようになりました。

        フランクフルト歌劇場での上演は、歌手が充実していました。パウル役のフォークト(Klaus Florian Vogt)、マリエッタ役のパブロフスカヤ(Tatiana Pavlovskaya)、フランク役のナギー(Michael Nagy)、ブリギッテ役のファスベンダー(Hedwig Fasbender)。
        日本では知名度は低いかもしれませんが、ヨーロッパの歌劇場で活躍をしている人たちです。とくにパウル役のフォークトの歌唱は、すばらしかったです。パブロフスカヤは、声は良かったのですが、ドイツ語のディクション(明瞭性が)今一つでした。
        指揮のヴァイグルはこの作品を良くまとめてはいましたが、オーケストラからより豊かな音色を引き出せたらよかったと感じました。
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        la fontaine * オペラ * 07:59 * comments(0) * trackbacks(0)

        「魔笛」公演無事終了しました Die Zauberflote in Sendai was successful

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          仙台オペラ協会の『魔笛』公演は盛会のうちに二日間の幕を閉じました。
          連日1000人を超すお客様に来場していただき、舞台を楽しんでいただきました。
          私の知人や友人、また初めてオペラを舞台で見た方々にも満足していただけたようで、ほんとうにうれしく思います。

          制作と公演に携わったすべての皆さん、お疲れさまでした。

          個人的にはこの『魔笛』の練習から上演までのすべてのプロセスで
          多くを学び、またモーツァルトの音楽にたいする新たな視野を広げることができたと思います。

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          la fontaine * オペラ * 11:53 * comments(1) * trackbacks(0)

          いよいよ初日 「魔笛」@仙台

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            2月から歌の練習を始めて、長いと思っていた公演までのカウントダウンもいよいよゼロの日を迎えました。
            昨日は会場で今日5日のキャストによるリハーサル(ゲネプロ)。
            会場で練習するのは昨日が初めて。本番と同じ舞台装置、衣装、照明でのリハーサルは、緊張もあり、また問題の発見でもあり・・・。

            舞台上演にハプニングは付き物。とくに昨日は時間が長引き、オーケストラ(仙台フィル)との練習が、規定の時間をオーバーして、最後の数分がピアノ練習になるハプニングも!

            そんなことにもめげず、今日は午後から明日のキャストによるゲネプロ、そして夜は本番と、超タイト!!なスケジュールですが、全力投球で頑張ります。



            画像は公演の舞台セット
            la fontaine * オペラ * 10:34 * comments(0) * trackbacks(0)

            魔笛の練習進行中

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              『魔笛』の本公演まで1か月を切り、8月5〜9日まで集中練習が
              行われました。
              8月5〜7日までは加美町中新田の交流センターで合宿による集中練習、8〜9日は衣装合わせを兼ねて練習しました。
              From 5th to 7th August we had an intensive rehersal in a domitory in Nakaniida, 40km from Sendai.
              On the weekend we had two days rehersal in Sendai.
              At the begininng we had a costume test.



              中新田 交流センター 元小学校を宿泊研修施設に改装したもの。
              ここで三日間の練習をしました。
              In Nakaniida, about 40km from Sendai, we had a three days rehersal. Our domitory was a former elementary school.


              練習風景。元体育館だったスペースは舞台とほぼ同じ広さがとれ、オペラの練習にはもってこいでした。
              We had rehersals in a former school gymnasium. It was very good for us, because it has almost same space as in a stage.


              食事風景 食事は美味しかったです。
              Lunchtime


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              la fontaine * オペラ * 16:23 * comments(0) * trackbacks(0)

              『魔笛』仙台公演  Mozart "Die Zauberflöte" in Sendai

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                モーツァルト:『魔笛』
                指揮:本多優之
                演出:石川裕人
                管弦楽:仙台フィルハーモニー管弦楽団
                2009年9月5日(土) 18時
                   9月6日(日) 14時

                Mozart:Die Zauberflöte
                Conductor: Masayuki HONDA
                Stage Director:Yujin ISHIKAWA
                Sendai Philharmonic Orchestra
                September 5.2009 18:00
                September 6.2009 14:00


                いよいよ公演が6週間後に迫りました。チケットの売れ行きも好評のようです。

                "Die Zauberflöte" will be played in 6 weeks.



                la fontaine * オペラ * 10:41 * comments(0) * trackbacks(0)

                カサロヴァ 新国立劇場に登場 ロッシーニ『チェネレントラ』を歌う

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                  6月10日 新国立劇場 オペラ・パレス New National Theatre Tokyo
                  ロッシーニ『チェネレントラ』(Rossini:La Cenerentola)

                  Antonio Siragusa
                  Roberto de Candia
                  Bruno de Simone
                  Vesselina Kasarova
                  Gunther Groissbock
                  Kouda Hiroko
                  Shimizu Kasumi

                  David Syrus
                  Tokyo Philharmonic Orchestra


                   昨日新国立劇場でロッシーニの『チェネレントラ』を観ました。タイトル・ロールは、ヴェッセリーナ・カサロヴァ!日本に何度も来日している彼女が、今回は新国立劇場に初登場しました。正直なところ、ほんとうに歌うのか一抹の不安がありました。しかも来日公演と違い、6公演全部に出演。しかし、彼女は歌いました!登場の歌いだしからその声に魅了され、観ているうちに、新国立劇場がヨーロッパのどこか有名な歌劇場の舞台かと思えるくらい、すばらしい出来栄えでした。
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                  la fontaine * オペラ * 10:30 * comments(0) * trackbacks(0)

                  「魔笛」練習スタート  Rehersal has started

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                    9月に上演する「魔笛」の声楽練習が2月14日に始まりました。
                    正確には、ドイツ語の発音に重点を置く歌い読み(ディクション)の練習です。
                    仙台オペラ協会でドイツ語の作品を上演するのは久し振りということなので、余裕をもって始めることにしました。
                    3月末までは私がピアノを弾きながら、歌手と一語一語、発音と音程の練習をします。
                    これが終わると4月からは音楽的な練習で、語のまとまりを意味で理解して歌うアーティキュレーションの練習。
                    そして、その後は演技とともに場面にあった表現を追求するデクラメーションへと進んで行きます。
                    オペラを本格的に上演するにはそうした準備が欠かせないのです。
                    English version below↓
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                    la fontaine * オペラ * 20:27 * comments(0) * trackbacks(0)

                    リゲティ《ル・グラン・マカーブル》日本初演を観る

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                      ついに日本初演です。

                      リゲティのオペラ《ル・グラン・マカーブル》
                      今日2月8日(日)二日目の公演を観てきました。

                      私は1998年にパリのシャトレ劇場で、ピーター・セラーズの演出による上演を観ましたが、今回の藤田康城氏の演出は、それよりもはるかによかったと思います。

                      セラーズの演出は、1997年のザルツブルク音楽祭で上演され、その翌年パリで上演されたものです。ただリゲティ自身は、セラーズの演出を全く評価していませんでした。
                      これは、私が98年にパリでリゲティと会った際に、リゲティから直接聞いたことです。
                      その時に彼は、セラーズの核戦争で世界が滅ぶという設定の演出に、「セラーズは私の作品がわかっていない・・・でも世の中では、演出家のほうが偉いのだ」と不満を述べていました。
                      リゲティ/オペラ「グラン・マカブル」
                      リゲティ/オペラ「グラン・マカブル」
                      フィルハーモニア管弦楽団,リゲティ,サロネン(エサ=ペッカ)

                      参考資料

                      ↑1997年ザルツブルク音楽祭でのセラーズ演出の舞台


                      今回の藤田氏の演出は、苦労の跡は多々見られました(特に後半)が、場面ごとに要求される細かい指示を表現していて、秀逸なものだと思いました。また、長木誠司氏による訳(字幕)も大変に良かったです。

                      歌手、合唱、オーケストラ、そして指揮者も大健闘でよい舞台になっていました。
                      こうした舞台が、東京室内歌劇場という私設団体によって実現したことは、特筆に値します。オペラとして、至難な作品をここまで仕上げた実力は、世界に誇れるものです。

                      できることならば、あと2回は上演してほしかったです。それが実際には非常に難しいというのは分かっていますが、聴衆のためのみならず、制作にかかわった全ての人(もちろん歌手の皆さんを含め)、ひいては日本の音楽界のためにも、こうした公演がイヴェントとしてではなく、文化的な財産として受け継がれていくような体制が必要なのだ、と感じます。2日あったとはいえ、ダブルキャストなので、ほとんどの出演者は1回の公演のためだけに、この超難しいオペラに取り組んだわけです。暗譜し演技をマスターする!大変な労力なのです。もし、これが少なくとも各キャストであと1回ずつ、計2回あったら、どれほど出演者や聴衆にどれほどの恩恵をもたらすことか(もちろん作品の好き嫌いは別としてです)。

                      このことは、私自身がリゲティの作品(ピアノ協奏曲、室内協奏曲、アヴァンチュール、ヌーヴェル・アヴァンチュール)を指揮しているので、非常に痛感しています。とにかくリゲティの作品は、譜読みに膨大な時間を必要とします。今日のプレトークで長木氏が「リゲティの譜面は複雑で緻密に書かれているのに、実際に音にしてみると、あまりそう聞こえない」と述べていましたが、まさにその通りです。だから、作品を繰り返し演奏できるなら、演奏家は作品を、古典と同じようにマスターでき、より深め、音楽家としてより成熟することができる。そして、それはひいては日本の文化的な財産の一部となる、私はそう考えています。

                      今回の「ル・グラン・マカーブル」公演の成功が、近い将来にこの作品が再上演されることにつながるよう、心から願ってやみません。
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                      la fontaine * オペラ * 20:55 * comments(0) * trackbacks(0)
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