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バロック音楽についての新刊書紹介

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    バロック音楽の実践について、重要な書籍2冊が翻訳され相次いで刊行されましたので紹介します。偶然にもどちらの著者もオランダ出身の演奏家です。

    1.バッハ 無伴奏ヴァイオリン作品を弾く  バロック奏法の視点から
         ヤープ・シュレーダー著 寺西肇訳  春秋社 2010年

    ヤープ・シュレーダーはバロック・ヴァイオリン演奏家の草分け的存在。そのシュレーダーが、
    バッハの無伴奏ソナタとパルティータの演奏法について書いた本。とくに注目すべきは、この本が
    モダン・ヴァイオリンを演奏する奏者も念頭に置かれて書かれている点です。
    バロックの様式と演奏法と題された第1部では、全般的なアプローチに始まり奏法、音律、装飾と
    いった事項が扱われています。ヴィブラートと装飾について扱ったの項目では、”「バロック時代の
    演奏には、ヴィブラートが一切用いられなかった」との考えは、無知からこそ生じる誤解です。”
    として、ノン・ヴィブラートを強く否定しています。バロック≠ノン・ヴィブラートのことは、コープマンの
    著書でも触れられています! 
    第2部では、ソナタとパルティータの各楽章ごとの解説が載っています。この種の著作としては譜例は少なく、多くは言葉によって説明されています。




    2.トン・コープマンのバロック音楽談義
       トン・コープマン著 風間芳之訳  音楽之友社

    古楽の演奏家として知られたコープマンの見解が講義録風にまとめられた著書。
    原著はオランダ語です(本書の存在は私も80年代にオランダの知人から聞いて知っていました)。
    今回オランダ語以外に初めて訳されたとのことですが大変喜ばしいことです。翻訳の風間氏は
    コープマンのもとで学び、翻訳にあたってはコープマンとの綿密な連絡を取っていたとのことで、
    補講「オルガン」は、日本語版だけのオリジナル。
    本篇の内容は以下のようです。

    第1講 1600年から1750年までの音楽史
    第2講 バロック音楽演奏における感情
    第3講 作曲家と当時の演奏法
    第4講 初学者たちへのアドヴァイス
    第5講 装飾法
    第6講 ヴィブラートと即興演奏
    第7講 アーティキュレーション、強弱法、その他
    第8講 テンポとリズム
    補講  オルガン

    当時の文献を多数引用しながらの説明は、この時代の音楽を理解し演奏するには、相当の読解力が
    必要であるということを教えてくれます。そしてコープマンも著作のなかで述べていますが、そうした
    当時の文献は翻訳でなく原典で読まなければ、本当の理解にはならない、ということです。


    このコープマンが総論的なものであるとすれば、シュレーダーは各論的なものと言えます。ともにバロック音楽を演奏には欠かせない著作といえるでしょう。
    la fontaine * ブックレビュー * 22:52 * comments(0) * trackbacks(0)

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