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公開講座 クリストファー・ホグウッド「音楽を読み解く」

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    指揮者で音楽学者でもある、クリストファー・ホグウッドの公開講座が昭和音楽大学であり、聴講しました。
    ホグウッドは指揮者として多くの録音によって有名ですが、同時に音楽学者として楽譜の校訂にも携わっています。近年ではメンデルスゾーン楽譜の校訂を担当しました。

    講座では音楽の演奏と研究は別々のものと考えられているが、両者は決して個別のものではないこと、それは演奏家にとっても一般聴衆にとっても非常に大切なことであることを、いくつかの実例をあげながら話しが進められました。

    まずホグウッドが指摘したのは、音楽の聴取と教育システム(伝承)の問題。
    ベートーヴェンの交響曲の演奏について初演当時の聴衆、20年後、50年後そして現代の聴衆では受け止め方が異なること。
    当たり前と思われている伝統が時間の経過とともに変化して伝えられていくこと、これに教育が関わっていることです。

    具体的な作品の例としては
    ビゼー:劇音楽「アルルの女」初演版
      大オーケストラではなく、もともとは23人からなる小編成の
      アンサンブルのための作品であったこと

    エルガー:エニグマ変奏曲の終曲(初稿)
     エルガーが最初に書いたコーダ。
     これは出版社の要求によってよって
     現行版の長大なフィナーレに書きなおされた。

    出版社は楽譜に初稿と最終稿の両方を提示して、演奏者が選択できるようにするべきだ、というのがホグウッドの見解。

    過去の演奏が現代とは異なっているというのは、
    残された歴史的録音に克明に表れている

    例として:
    ヘンデルの「エジプトのイスラエル人」
     1888年!のクリスタルパレスでの演奏、
     現代の古楽による演奏が紹介されました。
     両者は同じ曲とは思えないほど、テンポが異なっていました。

    続いて、
    最後のカストラートとして録音が残されているモレスキの演奏(1913年)、
    エルガーの指揮による自作自演(エニグマ変奏曲より「ニムロッド」
    が紹介されました。
    モレスキの歌に、ヘンデルや同時代の作曲家がカストラートに求めた声の質を知ることができる一方、モレスキが受けた19世紀後半の演奏様式の伝統(ルバートとポルタメント)が聴かれるということを解説していました。
    またエルガーの演奏には今日のオーケストラでは失われてしまったポルタメントの例が紹介されました。

    そうしたことは楽譜からは読み取ることはできず、
    録音によってはじめて明らかになるのです。

    また、コープランドの自作のリハーサルの録音では、
    楽譜に書かれていないクレッシェンドや音の長さについて
    演奏家にコープランドが指示している様子も紹介され、
    音楽の専門教育機関でもこうしたことをもっと教えるべきだ
    との考えを表明していました。

    最後にホグウッドは音楽愛好家も、自分で音(声)をだす演奏
    に参加する機会を持つ必要あるり、なかでも合唱と室内楽が親しみやすくということでした。
    ベートーヴェンの交響曲をピアノ連弾譜や室内楽編曲で知り、
    また楽しんでいました。そうしたことを経験することにより、より音楽の幅が広がるのです。
    (日本には数多くのアマチュアオーケストラや合唱団があります)

    講演を聴き終わって、ホグウッドの音楽にたするアプローチに多くの共感するものがあった、と感じました。






    la fontaine * クラシック音楽 * 13:31 * comments(0) * trackbacks(0)

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