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ノリントン指揮シュトゥットガルト放送交響楽団 演奏会

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    2月8日(金)19時 ミューザ川崎
    ロジャー・ノリントン指揮
    シュトゥットガルト放送交響楽団

    サリヴァン:歌劇「近衛騎兵隊」序曲
    ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番(独奏:小菅優)
    ブラームス:交響曲第1番


    アンコール
    小菅:グラナドス『ゴイェスカス』 から
         嘆きのマハと夜鳴き鶯(ナイチンゲール)
    オーケストラ:
    ブリテン 『マチネー・ミュージカル』より
    シューベルト:劇音楽『ロザムンデ』より 間奏曲


    それは二つの意味ですばらしい演奏会だった。一つは音楽的に
    オーケストラが柔軟性に富んだ高度な音楽表現を実現したこと、
    もう一つはオーケストラと指揮者の人間的な意思疎通がきわめて
    良好なことが舞台でみられたことだ。それはこの公演が終了後、
    指揮者のノリントンが下手(シモテ)バックステージに入る楽員を、
    入り口で(従って舞台上で)拍手で迎え握手し、あるいは抱擁を
    交わして成功を祝っていたことからもわかる。
    こうしたコンサートは私の長いコンサート歴でも見たことがない。

    1曲目はノリントンの祖国イギリスの作曲家サリヴァンの序曲。
    聴きやすい曲ではあったが、オーケストラのウォーミングアップ
    という感じがした。オーケストラは第1拍目からシュトゥットガルト
    サウンドで、よく鳴っていた。

    2曲目のベートーヴェンは、オーケストラがソリストを囲むような
    配置。これは以前ロンドン・クラシカル・プレーヤーズ時代から
    ノリントンが実践している方法。ピアニストが弾き振りをする時の
    体制。ピアノは蓋をとり、ソリストは客席に背を向けて座る。
    指揮者は弦楽器と管楽器の間に高い椅子で座って指揮をする。
    小菅のピアノは決して大きな音量ではないが、かえってそれが
    この協奏曲の持つ室内楽的な性格を明らかにしてくれたと思う。
    ブラームスの交響曲第1番について。
    ノリントンの解釈はCD(ロンドン・クラシカル・プレーヤース)DVD(シュトゥットガルト放送響)
    ですでに知ってはいたが、実際のホールでどのように響くのかが
    最大の関心事だった。期待どおり、とても刺激的だった。

    第1楽章の序奏は近年速めのテンポが主流を占めてきた。ノリントンは
    CD録音でもその先駆的存在。確かにUn poco sostenuto は
    ゆっくりとした速さを意図したようには思えない。もしそうならば
    ブラームスはAdagioと書いただろう。残念ながら第1楽章は自筆譜が
    残っていないため、どの段階からこのテンポ標示なのかはわからない。

    第2楽章の冒頭ではホルンがストップ奏法をかなり強調していた。
    実はこの部分CDでもDVDでも実際にどの程度の強さなのかがわからない
    箇所でかねてから実演を聴きたいと思っていた。ピアニッシモの響きの中で、
    このストップ奏法が実演では違和感をもって聴こえたのも事実だ。



    第3楽章と第4楽章は通例では連続して演奏されるが、ノリントンは
    しっかり間をあけていた。また第4楽章の序奏部が終わり、アレグロの主題が出てくる前に、少し間(ま)をとっていたのが面白かった。
    この部分は通常、ヴァイオリンのアウフタクトが切れ目なく続けて演奏される
    箇所からだ。ただし自筆譜を見てみると、このテーマの前の小節
    全体がフェルマータだったことがわかる。つまり、長く伸ばして
    その後新たに始めるという解釈も成り立つし、その間(ま)が次に何が来るのか、という期待をたかめるようにも思えた。


    またこのアレグロ部分のテンポ標示をブラームスが何度か修正している
    のが自筆譜から読み取れる。

    充実の一夜を過ごすことができたと同時に、ブラームスの音楽についての
    新しい音像(クラングビルト)を体験することができた貴重なコンサートだった。

    la fontaine * クラシック音楽 * 23:53 * comments(0) * trackbacks(3)

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