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ノリントン指揮NHK交響楽団 東京オペラシティ

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    11月13日(月) 19時
    東京オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル 
    NTT東日本 N響コンサート
    ノリントン指揮 NHK交響楽団
    ヴァイオリン:庄司紗矢香

    ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
    ヴォーン・ウィリアムス:交響曲第5番 ニ長調


    楽しめる演奏会だった。とくに後半のヴォーン・ウィリアムスは出色。
    私が今まで聴いたN響ではもっともピュアな響きが聴かれた。

    ソリストの庄司はノリントンと共演するにあたり、古楽奏法をかなり
    研究したと思われる。一貫して音楽をノン・ヴィブラートで演奏することは
    普段の彼女の演奏とは異質な体験だったのだろう。なにしろ
    ソリストとして今までの奏法を180度変えるのだから、相当の準備
    が必要だ。今日の演奏で彼女はそれを非常に巧く自己の音楽に取り
    入れて表現していたとは思う。ただ彼女が心底ノリントンの音楽と
    共感していたかどうかは疑問が残るし、ヴァイオリニストとして
    技術的、音楽的な面での完璧さという点ではまだ距離があった
    ように思う。

    オーケストラはノリントンとの初共演から2週間経ち、彼の音楽に
    馴染んだ感じがある。
    ただ私は、ノン・ヴィブラート奏法はノリントンにとって目的ではなく
    表現の一つの手段だと思っている。ヴィブラートによって作り出される
    微妙な音程の揺れ(ズレ)は響きを豊かにしたり音に厚みをあたえたり
    するが、音楽の透明性を犠牲にすることもある。
    またヴィブラートを無くすということは、それに代わる何らかの
    表現手段がなければ、音楽は骸骨のようになってしまう。
    そのためノリントンは楽譜には書かれていない< >で音を膨らませたり
    声部を強調したりしている。
    これは当時の演奏習慣を考慮に入れたノリントン独自の方法論で
    この辺りのことについてはいずれ機会を改めて書いてみたい。
    さて後半のヴォーン・ウィリアムスは、オーケストラから非常にピュアで
    清純な響きが聞かれ、実に新鮮だった。20世紀の作品ではノン・ヴィブラートは
    特殊な奏法として作曲家が楽譜に指定するものだ。しかしノリントンは
    あえてヴォーン・ウィリアムスの作品にもノン・ヴィブラートを
    応用することで、通常では得られない音の透明性を引き出していた。
    さらに和音の第3音を純正にとることで、協和音を美しく響かせて
    いたことも特徴だ。

    今回のノリントンとN響の共演は画期的であったと思う。
    この経験をオーケストラがどう活かし、再度の共演に結びつけるのかは
    大変に興味のあるところだ。ノリントンとベートーヴェンの交響曲
    全曲演奏などぜひ聴いてみたい。
    la fontaine * クラシック音楽 * 00:09 * comments(4) * -

    コメント

    古典作品をどのように演奏するか?
    これはとてもアップデートな問題なんです。
    指揮者、演奏家によっても意見が分かれます。
    でもそうした多様な演奏形態があってもよいのかな、
    と思っています。
    Comment by fontaine @ 2006/11/17 11:24 PM
    >ご本人に聞いてみないと

    ごもっともです。う〜〜ん・・・色々あるんですねクラシックも・・・。(笑)この件、しばらく追いかけてみたくなりましたね。

    ありがとうございました。
    Comment by 雪太郎 @ 2006/11/16 11:09 PM
    ご本人に聞いてみないと、残念ながらそこまではわかりません。ただ他の指揮者とベートーヴェンを演奏する時はこういう演奏はしないのではないか、という気がします。
    ムローヴァのように、古楽奏法を積極的に取り入れているモダンのヴァイオリニストもいますが、まだ少数派ではないでしょうか。
    Comment by fontaine @ 2006/11/16 12:25 AM
    ノンビブラート奏法・・・そうだったんですか!!先週のFM生放送を聴いてがっかりした原因が分かりました。ありがとうございます。でもそれは彼女の選択だったんでしょうかね????単に共演するための条件だったんでしょうか???疑問です。
    Comment by 雪太郎 @ 2006/11/14 11:11 PM
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