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ノリントン指揮NHK交響楽団を聴く

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    ロジャー・ノリントン指揮NHK交響楽団の演奏会を聴いた。
    この初顔合わせには非常に興味を覚えコンサートに足を運んだ。

    11月2日(木) サントリーホール
    指揮:サー・ロジャ−・ノリントン
    チェロ:石坂団十郎

    エルガー:「ロンドンの下町」序曲 作品40
    エルガー:チェロ協奏曲ホ短調 作品85
    モーツァルト:交響曲第39番変ホ長調 K.543



    まずオーケストラの配置はヴァイオリンを左右両翼におき、
    チェロは第1ヴァイオリンの内隣、ヴィオラは第2ヴァイオリンの内隣、
    コントラバスはオーケストラの最高列、つまり管の後ろに置かれていた。
    ホルンは弦の後ろ左、金管、ティンパニは右。

    最初のエルガーは初めて聴く曲で、こうした作品が取り上げらたことは
    非常に喜ばしい。オーケストラは弦楽器にヴィブラートがなく、
    すっきりとした響き。
    N響からこうした透明感のある弦の響きが聴かれるのは新鮮だ。

    協奏曲は若いチェリストの石坂が好演。
    エルガーの旋律の美しさをとても上品に演奏した。
    アンコールで弾いたペンデレツキのデイヴェルティメントは、
    彼の現代音楽への素質を垣間見せてくれた。
    将来別のレパートリー、とくに20世紀の作品で聴いてみたい。
    だがオーケストラの伴奏がどこか事務的に聞えたのは気のせいかな?

    さて休憩後のモーツァルトは木管を倍管にし、
    弦を12,10,8,6、6という編成。
    しかも弱音では1プルト(2名)ずつ奏者を休ませてダイナミックの差を
    人数的にも作り出していた。
    テンポも快速で、ノリントンの創意に満ちた独特のモーツァルトだった。
    指揮というよりモーツァルトの音楽を身体表現したような
    ジェスチャーたっぷりのノリントン。
    私の席からは指揮者の顔の表情まで良く見えた。

    しかし率直な感想を述べると、物足りなさを感じた。
    オーケストラが指揮者の音楽に完全には乗り切れていなかったと
    思えたからだ。
    明らかにノリントンのほうが役者が一枚も二枚も上だった。
    ノリントンの音楽に自らの音楽性をプラスして、指揮者とあたかも
    キャッチボールをするような「ゆとり」がオケにはまだ足りない
    のではないか?
    確かに弦楽器はノン・ヴィブラートに慣れる必要があった。
    しかしこれだけ情報のある昨今それは予想できたはずだ。

    NHK交響楽団は日本のトップクラスのオーケストラで、世界的に見ても
    非常にレベルの高いオーケストラだと思う。さらに指揮者への順応性も
    非常に高い。その意味でノリントンも満足したであろう。
    だが指揮者の要求に応えるだけで十分という時期は過ぎたのでは
    ないだろうか?
    もしノン・ヴィブラートに違和感を覚えるなら、指揮者と議論してはどうか?
    ラトルがウィーン・フィルとベートーヴェンの交響曲シリーズを始めた時も
    奏法、伝統などについてオーケストラと議論したとインタビューで述べていた。
    そうしたプロセスは、オーケストラの個性が強ければ強いほど必然的に起こりうる。

    オーケストラ文化の世界の潮流に鋭いアンテナを持って、
    そのなかで日本におけるオピニオンリーダー的役割を担う自負と
    実力を備え、オーケストラとしてどういう音楽を聴衆に提供して行くか?

    それが20年後のN響を決めるかもしれない。
    la fontaine * クラシック音楽 * 12:18 * comments(2) * -

    コメント

    そうなんですよ。真面目すぎというか、堅いですよね。
    それがオーケストラの個性だというにはちょっと無理があるかもしれませんね。
    Comment by fontaine @ 2006/11/11 12:52 AM
    N響って、大概演奏した後に笑顔がないですよね。自分が経験した数少ない例外は十年位前にメータとマーラー1番をやったとき。わりと大まかなメータらしい演奏だったけど、聴いていて楽しかった。
    Comment by キルギス旅行団 @ 2006/11/10 1:27 AM
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