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中国人ピアニストL氏のリサイタル

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    中国出身で今売り出し中の若いピアニストL 氏のリサイタルをわざわざ
    仙台まで行って聴いた。実は先週私が新潟でリハーサルをしていた同じ日に、
    近くの会場でL氏のリサイタルが開かれていた。
    私自身このピアニストは以前から注目していて、録音や録画はもちろん
    リサイタルも聴いたことがある。

    今日のプログラムは
    モーツァルト:ピアノ・ソナタ第10番K.330
    ショパン:ピアノ・ソナタ第3番
    シューマン:子供の情景
    ラフマニノフ:前奏曲op.23-2, op.23-5
    リスト:「巡礼の年第2年」からペトラルカのソネット104番
    リスト:ハンガリー狂詩曲第2番(ホロヴィッツ編)

    コンサートは残念ながら満足行くものではなかった。
    まず第一にピアノの音色に魅力が感じられれなかった。
    会場のピアノのせいとかではなく、L氏が作り出そうとする
    ピアノの音色がまったく伝わってこないのだ。
    確かに強弱や、高度なテクニックは分かるのだが・・・。

    1曲目のモーツァルトは、拍節感がしっかりしておらず
    本来強拍であるべきところが抜けてしまっていたり、
    あまり音楽的には聞こえない強弱があった。

    2曲目のショパンのソナタは、速い所はただ速く、
    ゆっくりのところはただゆっくりだけで、
    ショパンに特有な旋律の叙情性、バランス、和声感そして何よりも
    華麗さに欠けていた。

    前半を聴いて私は考えざるを得なかった。L氏はこんなピアニストでは
    なかったはずだと。
    以前FMで聴いたモーツァルトのピアノ協奏曲のライブはすばらしかったし
    チャイコフスキーのピアノ協奏曲の映像も見事だったのに。

    この点ロシア人のピアニストKs氏は絶対に上だと思う。彼も若くデビューし
    天才と騒がれた。今彼は確実に巨匠の道へと、そのスケールを大きくしていると思う。
    プログラムの後半、シューマンの子供の情景はシューマンの詩的な世界をどのように
    表現するのか興味を持っていたが、通り一遍に弾かれた感じだ。

    それに続くラフマニノフ、リストの作品はピアノの名人芸を聴かせる曲。
    ここへ来てL氏は本領を発揮した。但し技術的な面においてのみ。
    だが音色の輝きは不足気味。モノトーンに感じられる。確かにテクニックは
    大したものだが、それだけで聴かせられるものではないと思う。

    L氏は現在世界中を飛びまわっている売れっ子ピアニストである。
    しかし私は彼の将来に不安を感じざるを得なかった。
    今は若く、テクニックもある。しかしこれからは公演数を減らしてでも、
    音楽をより深く掘り下げ円熟して行って欲しい。

    その意味で私は今ロシア人のKs氏に大いに期待している。

    L氏とK氏。誰だかわかりますよね?
    la fontaine * クラシック音楽 * 22:39 * comments(4) * -

    コメント

    たしかにホロビッツは凄かったですね。実演は最晩年にしか聞けませんでしたが、あのピアノの音色はいまだに耳から離れません。
    Comment by fontaine @ 2006/10/31 2:05 PM
    それを考えるとホロビッツってすごいですね!
    Comment by キルギス旅行団 @ 2006/10/30 10:57 PM
    そうでしたか。しかし音楽産業の軌道に乗るというのは恐ろしいことです。
    Comment by fontaine @ 2006/10/29 12:35 AM
    わかります。ちなみにL氏の前回のリサイタル、自分は途中で頭に来て、休憩時間に帰りました
    Comment by キルギス旅行団 @ 2006/10/28 5:43 PM
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